日本の会社は社内規則でがんじがらめです。それはそれで窮屈ですが、個人を尊重するアメリカでは、規則はあるものの、個人の裁量を大幅に認めています。日本人にとっては、慣れるまでは、ちょっと居心地が悪いです。
そもそも、私の会社には始業時間とか終業時間といった概念がありません。
一日8時間働けばよく、出社、帰社の時間は個人の裁量に委ねられています。朝6時に出社して、午後3時まで働き、夕方の子供のピックアップに間に合わせる従業員とか、逆に朝10時にきて、午後7時まで働き、朝、子供を学校に落としてから出社する親とが様々です。また、上司の了解さえあれば、事務所に来ないで、自宅で働いても良いので、通勤時間の長い従業員は、週に3日だけ事務所に来て、2日は自宅勤務だったりします。
日本にいた時には、全従業員が8時半に出社し、朝礼をしてから仕事を始めていたので、こういった環境に入ると規律が緩んでいる感じがします。また、自分の部下が、遅く出社したり、早く帰ったり、自宅で勤務したりすることが、良くあります。話したい時にいなかったりすると、日本的な感覚が抜けきらないうちは、イライラすることもありました。
また、アメリカの祝日は、殆どの場合が月曜日で3連休になるのですが、私の会社では、3連休の前日の金曜日は、半ドンというのが、暗黙の了解になっています。
日本では、3連休の前は、翌日から休んでも業務に支障が無いように、遅くまで残業して、やっとの思いで3連休に入るのが当たり前でした。いまでも3連休の前の金曜日の午後は、気がつくと、事務所にいるのは日本人駐在員だけだったりということもあります。
個人の裁量に委ねられることで、得られるメリットは多い。
出張手続も随分と簡単です。
日本にいた頃は、国内出張でも、詳細を指定のフォーマットに漏れなく記入し、上司に説明に行って決済をもらっていました。海外出張に至っては、役員会に諮る必要がありました。
アメリカの私の会社では、一応、出張申請用のフォーマットがありますが、殆どの人が使っておらず、たまに使っている場合でも空欄が目立ちます。最初の内は、何時の飛行機に乗るのかとか、どこのホテルに泊まるのかとか、誰と会うのかとか、色々と質問していましたが、部下からはマイクロマネジメントと、疎まれ、次第に、そういった質問もしなくなりました。今では、いつからいつまでどこに行くのか位が分かれば、部下を信頼して"Approved"という返事を出しています。
勤務時間がフレキシブルなことにより、女性が育児をしながら働くことが出来たり、男性が育児や家事に参加出来たりと、ワークライフバランスが維持できます。生涯教育やボランティアにも参加できます。勤務時間への柔軟な対応が、アメリカの活力を生み出しています。しかし、就業規則でががんじがらめに日本人からすると、規律が緩んでいる様な気がしてしまうのです。
出張申請が簡略化されると、必要な時にすぐに出張出来るし、申請書を書く時間や持ち回る時間も節約できて、極めて合理的かつ効率的です。若干申請手続きが緩くても、各部門長は予算には非常にシビアで、出張に使う金額が予算を超えることはありません。各部門長は予算の範囲内であれば、自分の裁量で出張するのは当たり前を思っており、そこを任せられず、あれこれと細かい質問をする上司はマイクロマネジメントのレッテルを貼られてしまいます。
最初は、個人の裁量が大きくて、イライラすることがありましたが、慣れてくるとアメリカ式の方が居心地が良くなっています。日本の会社に元気が無いのは、何もかも規則で縛られ、息苦しくなっているからではと思う程です。
(この文章は、南カリフォルニアの情報誌ライトハウス2104年8月16日号に掲載された記事を修正・加筆したものです。)
(この文章は、南カリフォルニアの情報誌ライトハウス2104年8月16日号に掲載された記事を修正・加筆したものです。)
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