Saturday, April 18, 2015

アメリカで従業員を解雇するとき気を付けるべきこと

米国で仕事をしていて、一番、嫌なのは、解雇です。私は、米国着任後、私が日本にいた時から、自分の片腕としてよく働いてくれた米国人幹部を解雇せねばならない状況に陥りました。
彼は、私の事務所から数千キロ離れた工場に勤務していました。解雇通知を電話でするのはまずいので、ある課題について、彼の意見を聞きたいので、私の事務所に来て欲しいと言って、彼を呼び出しました。彼は、張り切って、私のために、プレゼンテーション資料を準備しました。
解雇当日の対応について、私は何回も人事部長に相談に行きました。解雇の際に言い渡す文言については、人事部長に事前に原稿を作ってもらいました。当日に向けて、何回もその原稿を読み、私なりの修正を加えて、頭に入れ、緊張しながら当日を待ちました。
解雇当日、彼は飛行機を乗り継いでやってきました。彼が私のオフィスに入り、私のために一生懸命準備したプレゼンテーション資料を開いた瞬間、私は暗記していたフレーズを言い渡しました。私はどうなることかと心配していましたが、彼は以外にもあっさりとしていて、「そうですか。分かりました。これまで有難うございました。」と言って、私のオフィスを出て行きました。それ以降、彼とは、一度も会っていません。
彼の冷静な態度について、人事部長に話したら、「彼はプロフェッショナルだね。」と褒めていたのを今でも思い出します。
それから何回も解雇の場面に遭遇しました。そして、米国社会は、解雇があるが故に、日本社会と異なる側面があることが、分かってきました。


日本と米国の解雇における解雇の際に見える違い
第一に、会社での人間関係です。
米国には、"be friendly but not a friend" 「フレンドリーであれ、でも、友達になるな。」というフレーズがあります。会社の中では、人間関係を円滑にするために、フレンドリーでなければならないが、解雇したり、解雇されたりするかもしれないので、友達にはなるなということだそうです。 
日本では、上司と部下が、家族ぐるみで付き合ったりして、緊密な人間関係を築こうとしますが、米国ではそれ程緊密な関係にはなりません。また、自宅に招待することは、良くないという話を聞いたこともあります。解雇された部下が、腹いせに自宅に放火したりする可能性があるからということです。
それまでとてもフレンドリーだった部下が、会社を辞めると2度とコンタクトして来ないということが度々あり、人間関係の希薄さに寂しい思いをしたことが再三ありました。
第二に、上司との関係。
上司への絶対的服従は、日本人以上です。上司に睨まれると、解雇されるという恐怖がありますから、とにかく上司には徹底的にゴマをすり、上司からの指示はそのまま受け入れます。合理性を追求する米国人もここでは、冷静さを欠きます。
第三に、リストラの噂が流れた時の対応。
少しでもリストラの噂が流れると、何とか解雇を免れようとするのか、沢山の従業員が様々な形でコンタクトを取ってきます。多くの場合は、解雇された場合の割増金の交渉です。
会社側も、リストラ前には、従業員への発信を減らしたりと、少し妙な行動を取ることが多いので、従業員もリストラがありそうなことに気づいてしまうのでしょう。
面白いのは、解雇した従業員が、何年かして、再び採用されることがあることです。採用された当日、挨拶に来た従業員に「どこかで会ったことがありますよね。」と言うと、「貴方に2年前に解雇されました。」という返事が、明るくい返ってきて、びっくりすることがあります。

とにかく、日本人である私は、この解雇という習慣に慣れることはありませんでした。従って、特に人事部長と法務部長は、信頼出来る人を雇うことが重要です。慣れないこと、そして最も難しいことをやる時に、彼らからの、親身になった、そして、公平な観点からのアドバイスは本当に有難いです。

(この記事はロサンゼルスのコミュニティー誌である「ライトハウス」2014年8月16日号に掲載された記事を修正・加筆したものです。)

Sunday, April 12, 2015

アメリカで従業員の一年間の評価を上手に行うための秘策とは?

前回までは、経営品質管理の最初の3つのフェーズ、つまり、目標を設定し、それを従業員に伝達し、それを実行するところまでお話しました。今回は、最後のフェーズであるフィードバックについてお話します。

部下と共に年初に設定した目標を、一年間、部下と共に実行した後には、部下へのフィードバックが待っています。
米国ではこのフィードバックのプロセスをPerformance Appraisalといいます。日本でいう、成果評価です。私は、このプロセスが非常に苦手です。日本人は全般的に苦手なのではないでしょうか?あまり、ものをはっきりと言わない日本人にとって、部下の前で、部下のことをどう思っているかを言うのは、余り居心地の良いものではありません。
私の会社では、4月下旬から5月位に、各従業員の前年度の評価と今年度の目標の設定を行います。
Performance Appraisalの際に、作成するフォーマットは、短くしたり、長くしたり、定性的な評価項目と定量的な評価項目のバランスを変えたり、何回も改良を加えましたが、基本的な部分はあまり変わっていません。要は、その部門が目標を達成出来たのか否かを振り返り、その人が目標達成に貢献した点(良かった点)とその人が更に改善すべき点(悪かった点)を具体的に記述し、悪かった点についてどの様に改善すれば良いかアドバイスを記載し、次年度の目標に反映させます。
日本でも、米国のマネをして、目標管理制度が導入されてから20年以上になると思いますが、正直なところ、幹部も一般従業員もあまりこの制度を重要視している様には見えません。いまだに、日本では、終身雇用、年功序列が一般的で、目標の評価が良くても、悪くても、自分のキャリアパスや給与にそれ程大きな影響がないからでしょう。
目標評価のシートに空欄があっても、面接の時間が短くても、極端な話、面接をしなくても、部下から文句を言われたことはありません。


アメリカ人の従業員に自己評価をさせてみる。
しかし、終身雇用や年功序列の無い、アメリカでは、この点は大きく異なります。会社を移動することによって、ステップアップしていく、アメリカ人はにとっては、Performance Appraisalに何が記載されているかは非常に重要です。ここに良いことが記入されていると、次の会社に自分を高く売り込めますし、逆に、悪いことが記入されていると、自分の市場での価値が下がってしまいます。
極端な話、アメリカ人は、Performance Appraisalのために一年間働いていると言えますし、上司の最も重要な仕事は、Performance Appraisalの記入だと思っている節があります。
アメリカ人と、日本人の間の、こうしたギャップを埋めるためのやり方として、一つお勧めしたいのは、自己評価です。アメリカ人に自己評価をする様に指示すると、自分の良かった点、悪かった点を、非常に詳細に記載してきます。
例えば、Mikeという部下に自己評価をお願いすると、「Mikeは、顧客を常に大切にしている。彼の献身的な仕事振りが、会社の業績向上に、大きく貢献した。」等と、日本人ではありえない程、自分を持ち上げた文章を書いてきます。これを少し、修正してやれば、目標評価の完成です。
自分の評価について、これだけ大胆なことが書けるアメリカ人だから、自分の評価について、上司と話し合う時に、日本人の様な居心地の悪さを感じないのかというと、そうでもありません。
評価フィードバックの面接では、部下も緊張しているのが分かります。

アメリカではフィードバックは避けられないプロセスですし、アメリカ人にとって重要なプロセスです。一方、日本人は他人を評価することを嫌がりますし、そもそもフィードバックに時間を使うのは無駄だと思っています。従って、自己評価に遠慮しないアメリカ人の性癖を利用して、まず自己評価をさせ、効率的にフィードバックするのが、うまいやり方だと思います。

(この文章は、ロサンゼルスのコミュニティ誌「ライトハウス」2014年8月16日号に掲載された記事を修正・加筆したものです。)