Monday, December 1, 2014

会社全体の戦略・目標を確実に部下に実行してもらうには

前々回は目標の設定、前回は目標の従業員への伝達についてお話しましたが、今回は、次の段階、つまり目標の実行についてお話ししたいと思います。





私は、目標の実行を確実にするために、毎週一回、直属の部下を集めて、打合せを行い、目標の進捗状況をチェックしています。自分の直属の部下を集めて行う打合せを、アメリカではStaff Meetingと呼びます。日本の経営会議の様なものでしょうか。
毎週金曜日の朝8時~9時半に、自分の直属の部下5名が集まって、それぞれの部門の過去1週間の活動、問題点等が説明されます。また、経理部門からは、その月の売上・損益予測が毎週アップデートされ、報告されます。

こうした打合せで、社長として、どういう内容の報告を、どの様なフォーマットでさせるかは、本当に良く考えねばなりません。それにによって、経営の良否が決まると言って良いと思います。
私が最もこだわったのは、損益管理です。社長に就任した際には、会社は赤字でした。部下の間にも、何となく赤字に慣れてしまっている雰囲気がありました。そこで、私は、売上・損益予測については、報告フォーマットの詳細にまでこだわり、きちんとした報告をさせました。赤字の予測が提出された場合には、その原因と対策を徹底的に議論しました。すると、本当に不思議ですが、会社はあっという間に黒字化しました。トップが本気で黒字化に取組むと、会社は黒字になるのです。反対に、ほんの少しでも気を緩めるとあっという間に赤字にります。
もう一つこだわったのは問題点の解決です。報告資料の最後に、問題点を箇条書きで整理してもらい、それらについてどう解決するか議論しました。その場で解決出来ない問題点は、その場で、別打合せの設定等具体的なアクションを指示します。これらのアクションアイテムはリスト化され、翌週以降、クローズするまで、毎週進捗状況が報告されます。


社長のやり方が直接的に部下に影響するのがアメリカ

トップまでエスカレーションされてくるアクションアイテムは難易度が高いので、クローズするまで社長が背中を押し続ける必要があります。まさに、トップの本気度が試されます。
米国の会社はトップダウンですから、社長が何かにこだわると、部下もあっという間にそれにこだわる様になり、もの凄いスピードで会社の文化が変わります。従って、社長が正しいことにこだわると会社も正しい方向に進みますが、間違ったことにこだわると間違った方向に進んでしまいます。

ところで、日本の経営会議だと、別の部門の問題点であっても、会社の根幹に係わる様な重要な問題であれば、他部門の部門長からも意見が出て、出席者全員で活発な議論が行われます。これは、日本の企業では、あるレベルの幹部になると、自部門のことばかりでなく、他部門のことにも興味を持ち、経営者のレベルで議論をすることを期待するからでしょう。
しかし、縦割り志向の強い、アメリカでは、かなりのレベルの幹部でも、他部門のことに興味を持つことはありません。ある部門からあがってきた問題に対する議論は、その部門長と私の間で行われるだけで、たとえ副社長であっても議論に加わることは殆どありません。
従って、ある部門のトップが報告している間は、他の部門のトップは、パソコンを開いて、メールをチェックしたりしています。最初のうちは、高い給料を払っているのだから、会社全体の視点から、他部門のことに興味を持って欲しいと思ったことが、多々ありましたが、縦割り社会のアメリカではそこに期待してはいけないということを学びました。

Friday, November 28, 2014

全従業員に会社の戦略や目標を伝える「All Hands Meeting」の上手な運用法

前回は、戦略や目標を策定するためのOffsite Meetingについてお話しましが、次の段階として、策定された目標をしっかりと従業員に伝えて浸透させていく必要があります。.
私は、四半期に一回、全従業員全員を集めて、四半期毎の目標を説明しています。私の会社ではこうしたをAll Hands Meetingと呼んでいます。
日本にいた時にも、四半期に一回、本部に所属する幹部社員を集めて、幹部社員集会というのをやっていました。本部に所属する7統括部の統括部長がそれぞれ四半期の目標を報告。一人当たり20分程度、休憩を挟んで3時間程度の会議でした。
最初に米国でAll Hands Meetingを実施した時には、基本的にはその形式を真似ました。私を含む幹部5名が一人当たり20分話をし、全体で約2時間近くかかりました。
私は、10枚程度のパワーポイントに要点を分かりやすくまとめ、20分で終わる様にシナリオもきちんと作成し、練習を繰り返して、本番に備えました。一生懸命でした。家族も巻き込んで練習したのを今でも覚えています。
従業員に業績を少しでもわかりやすく伝えようとして、プレゼンテーションには沢山の数値を盛り込みました。数値は万国共通語なので、英語が母国語でなくても比較的簡単に説明出来ます。ですから、分かってもらおうとすればする程、数値を中心としたプレゼンテーションになりがちでした。
暫くすると、従業員の間から、All Hands Meetingの時間が長い、プレゼンテーション内容が数値に偏っているという苦情が寄せられるようになりました。また、質疑応答の時間をもっととって欲しいという要望も寄せられました。
その時、日本の集会で、自分と関係の無い部門の話を20分も聞くのは苦痛だったこと、特に数値はよく分からなかったことを思い出しました。せっかくプレゼンテーションをしても、誰も分かっていないのです。それでも、日本では、情報共有という名目で、そうした形式的な会議が許されますが、合理性、効率性を求める米国ではこうした形式主義は通用しません。
また、質疑応答の時間を沢山取るのがもう一つのポイントです。日本の集会では、プレゼンテーションだけで、質疑応答の時間が無い場合もあります。米国の場合は、プレゼンテーションと質疑応答の時間は、1:2程度で、後者に沢山の時間を取った方が、好評です。
最近のAll Hands Meetingは、プレゼンテーションは5分。幹部5名が話すので、プレゼンテーションは全体で30分。その後30分~60分程度を質疑応答に充てています。
プレゼンテーションは、試行錯誤の末に、ポイントだけ簡単に記載してパワーポイント1~2枚を準備、シナリオは骨格だけ考えておき、聴衆の反応を見ながら話す様にしています。
質疑応答は、この形式に変えた当初は、従業員側も緊張したのか、あまり質問が出ませんでしたが、数名のさくらを入れてみたら、それをきっかけに沢山の従業員から質問が出て、最近は、質問が多く出すぎて断るのに苦労しています。
最初は、私も、英語の問題もあり、どんな質問が出るのか、うまく応えられるのか、不安でした。でも、今は、従業員と直接会話出来るこの形式をとても心地よく感じています。従業員が何を感じているかがよく分かるし、何と言っても、従業員と心が通う感じが良いですね。

プレゼンテーションは、格好良いとか、ユーモアがあるなども大切ですが、短いことと、分かりやすいことの2点がが一番大切。そして、プレゼンテーションの倍の時間を従業員との質疑応答に当てて、この時間を心から楽しむのがコツ。社長が楽しそうだと、従業員も安心するようです。

Wednesday, November 26, 2014

アメリカの社会において経営幹部の合宿を成功させるには

経営方針、戦略、目標等、会社にとって重要な事項を決定する際には、経営幹部が集まって議論をする必要があります。そういう時、打合せを社外で行う場合があります。忙しい経営幹部が、まとまった時間、他の業務に邪魔されずに、集中して議論できる様にという目論みです。時には、宿泊する場合もあります。日本でいう合宿のイメージですね。こうした打合せを、私の会社ではOffsite Meetingと呼び。社外取締役を引き受けていた他の団体では、 Retreatと呼んでいました。
日本にいた時には、私の本部では、四半期に一回、週末を利用して合宿をしていました。幹部30名程度が、会社の研修施設に宿泊し、土曜日、日曜日の2日間にわたって、本部の方針、戦略等を集中討議していたのです。
そこでは、討議そのものも重要でしたが、チームとしての一体感を作ることも同程度に重きを置いていました。幹部が2日間、同じ屋根の下で、時間を共有する。幹部同士が、一緒に風呂に入り、一緒に食事をする。長時間一緒にいて、同じ体験をすることそのものに意味を見出していました。
また、チームとしての一体感を作るためには、わざと困難なスケジュールを作り、それを全員で達成することにより、士気をあげることも重要でした。夕食後も、浴衣姿で、深夜遅くまで議論する。その後、一緒に酒を飲みながら熱く語り合う。翌朝は眠い目をこすりながら、更に頑張って議論を続ける。まさに、根性ドラマです。

米国に来てすぐの頃は、この日本の合宿モデルをほぼそのまま持ち込みました。さすがに土曜日、日曜日の2日間は、ローカル従業員の反対が強かったので、金曜日と土曜日の午前中として、四半期に一回開催しました。
事務所から1時間半程度離れたリゾートホテルで、金曜日は朝から晩まで、土曜日は午前中のみ、様々な議論をしました。私の案では、金曜日の夕食後も、会議室で、討議を続けて、根性を鍛えることになっていたのですが、気がつくとローカル従業員がさりげなく予定を変更していました。夕食後は、夜の海岸でみんなで焚き火を囲んでスモアを楽しみながら、議論をするという、日本から来たばかりの私にとっては、何とも軟弱なプログラムになっていたのです。
その後、ローカル従業員がどんどんと、変更を加え、私の意図は骨抜きにされていきました。まず、場所が事務所から30分位の普通のホテルに変更。半分位の出席者が、夜は自宅に帰って、翌朝また来る様になってしまいました。そして、次の段階として、ホテルで、金曜日のみの日帰り開催に変更。さらには、ホテルは止めて、事務所の大会議室で、金曜日一日限りの開催。最近は、事務所で、金曜日の午前10時~午後3時とどんどん簡易化が進んできています。
アメリカ人は、重要な議論のためには長時間拘束されるのも厭いませんが、チームの一体感を高めるという漠然とした目的のために、長時間拘束されるのを極端に嫌います。特に、金曜日の午後や週末にそういたイベントが入るのを嫌がります。確かに、4半期の目標を議論するなら、きちんと事前準備をして、集中して議論すれば、5時間もあれば十分ですね。

もう一つ重要なのは、こうした打合せでは、必ず結論を出すことです。日本の合宿では、情報共有や親睦の意味合いもあるので、ダラダラと長時間議論したあげく、結論が出ないことも多いのですが。米国でそんな打合せをしていると、たちまち誰からもサポートされなくなります。

結論を出すためには、社長のリーダシップが特に重要です。ある程度、議論したら、そこからうまく結論を導き出し、会社の方針、戦略、目標等をてきぱきとまとめていかねばなりません。会社の方針、戦略、目標は社長以外決められないのですから。部下は、こうした場での社長のリーダシップを見て、この人についていくべきかを決めているのです。

Friday, October 17, 2014

アメリカ社会で適切にマネッジするため、日本人が理解しておくべきことは。

2004年に日本企業の米国子会社の社長を拝命され、米国に渡り、10年が経ちました。

それまで日本企業で働いてきた人間が、いきなり、言葉も文化も違う、数百人の米国人をマネッジする訳ですから、マネッジする側にもされる側にも、様々な苦労が生じます。

最近は若者が海外に出ないとか、せっかく海外に出る機会を得た日本人が日本人同士で固まってしまったりとか、何かと内向きな日本人がクローズアップされています。私が駐在していたロサンゼルスでも、本当の意味でアメリカ人社会に飛び込んで、活躍されている日本人の方は、残念ながらそれ程多くありません。

でも、日本が本当にグローバル化していくためには、日本からどんどん有能な人材が海外に出て外国人をマネッジしていく必要があります。

日本企業の米国子会社の社長業が難しいのは、単純にアメリカ社会に飛び込むだけでは、不十分だからです。アメリカ社会に飛び込んでそれを理解しつつ、アメリカ人にも、日本人の考え方や、日本企業のやり方を理解してもらわなければなりません。

私は、米国駐在以前に、カナダに7年間駐在、また会社から米国へ短期留学の機会等も与えられ、北米のことはよく分かっていたつもりでしたが、実際、社長という立場になってみると本当に大変です。頑張れば、頑張る程、今までの自分のやり方が間違っていたことに気づき、反省の毎日です。

そこで、私のこの10年のアメリカでの経験をもとに、私が苦労した点をまとめてみました。また、私なりのアドバイスも書き加えました。これから、何回かに分けて、このブログで皆さんと共有させて頂きたいと思います。

最初にお断りしたいのは、私が述べるのは、私の限られた経験をもとにした、私自身の考えであり、それは、正しいかもしれないし、間違っているかもしれないということです。皆様から色々なフィードバックを頂けるのを楽しみにしています。私のメールにご意見をお寄せ下さい。Yosshin.masuda@gmail.com

今回のブログは、私が学んだアメリカらしいフレーズ二つの紹介で締め括らせて下さい。

アメリカでは「遊びはみんなでしろ。仕事は一人でしろ。」と教えられるそうです。こうした考え方を小さい頃から植えつけられるので、「仕事もみんなでする。」日本人とは、仕事に対する姿勢が随分と異なります。

また、アメリカでは、会社での人との接し方について「フレンドリーであれ。でもフレンドにはなるな。」と言うそうです。解雇を前提とする社会では、いつくびを切ったり、切られたりするか分からず、そうした際の気まずい思いを避けるための知恵でしょう。こうした感覚は日本人には分かりずらいものがあります。

どうでしょうか?アメリカらしいフレーズですよね。