アメリカ人は、目標を明確にしてあげないと仕事をしにくい様です。
特に年度末になると、「来年の会社の目標は何ですか?」という質問が、直接の部下から寄せられます。
そんな時には、「まあ、会社の目標は、自分一人で決めるよりも、幹部も入れてブレインストーミングをして決めた方が良いだろう。」ということで、目標設定のための幹部会議を設定します。するとそうした会議は、日本人が想定しているものと随分と違ったものになります。
私が経験した相違点を3つ程あげてみます。
第一に、まず議論を開始しようとすると「日本の親会社の目標は何ですか?」という質問が出ることが多いです。
「我々の会社は子会社であり、親会社の目標を達成することが、子会社の使命であるので、親会社の目標が分からないと自分達の目標は設定不可能。」というロジックです。これはもっともなのですが、残念ながら、親会社の上司に問合せると、「目標なんてまだ設定してないよ・・・。」という回答が帰ってくることが多いのが現実です。
たまに、目標が設定されていても、「真のグローバルカンパニーになる。」とか、「笑顔で努力する。」とか、翻訳不可能、説明不可能の目標であることが多いです。日本では自分の会社や部門の目標を設定することにさほど重要性を見出していませんし、ましてや子会社にわかり易く説明しようという意識はまだまだ希薄です。
第二に、目標(Objective)の議論をはじめると、それはObjective ではなく、Missionだとか、いやいやそれは、 visionだとか、 やたらと言葉に定義にこだわる部下が出てきます。
そのうち、Mission, Vision, Value, Objective,
Strategy等の言葉の違いをレクチャーしてくれる輩が出てきたりします。しかし、アメリカ人もそれ程これらの違いを明確に理解しているわけではなく、人によって定義は様々です。
どうも、Mission, Vision, Value等が、Objectiveの上位概念で、これらが決まっていないと目標(Objective)が出来ないらしいのです。親会社の目標がないと自分達の目標が立てられないのと同じです。
要するに、アメリカ人は、自分達の目標の上位概念がしっかり決まっていないと目標がたてられない様です。
全社目標は社長がまず骨格を作ることが重要
第三に、会社の目標を決めるのは社長の仕事と思っており、何故、会社の目標を決める会議に自分達が巻き込まれなければならないのか理解出来ないようです。
日本では、各本部の目標は、トップである本部長が独断で決めるのではなく、本部の複数の幹部が集まって合議して決めていました。しかし、アメリカでは、会社の目標(全社目標)は、トップである社長が決めることが期待されています。
全社目標をアメリカ式に社長一人で決めるアメリカ流と、合議制で決める日本流とには、それぞれに長所短所があります。私は、日本のよいところを取り入れて、合議制を定着させようとしました。しかし、その場合でも、アメリカ流のよい所も取り入れて、目標の骨格は私から示す様にしました。
最後に、アメリカ人は、目標を明確に与えると、びっくりする程、その達成に向けて努力します。但し、日本人の様に、目標が無くても、上司の期待を慮って仕事をするのが苦手です。ですから、目標を如何にうまく設定できるかが、成否を左右する鍵と言っても良いでしょう。
アメリカ人は、クリエイティブですし、自分の考えを述べることに日本人程躊躇しません。但し、全社目標の様な大きな話題では、社長のガイダンスや、上位概念の無い中で、自分の考えをのべるのは、さすがのアメリカ人でも躊躇する様です。
ですから、目標設定に際しては、こうしたアメリカ人の心理を理解して、対応することが重要です。
(このブログはカリフォルニアの情報誌ライトハウス2014年8月16日号に掲載された文章を修正加筆したものです。)

